Redmine、Backlog、Jira、Wrike…現在は様々なプロジェクト管理ツールが登場しているため、いざプロジェクト管理ツールを導入したいときにどれにすべきか悩んでしまいますね。そこで、今回は以下の主要プロジェクト管理ツールを徹底比較したいと思います。
・Redmine ※Lychee Redmine含む
・Brabio!
・Trello
・Backlog
・Jira Software
・Wrike
・Asana
プロジェクト管理ツールの比較方法
以下の基準で各プロジェクト管理ツールを評価したいと思います。
進捗管理
スケジュールの進捗状況をいかにわかいりやすく表示・変更できるかを評価します。ガントチャート機能がある場合はであれば表示だけでなく、期間や順番、複製などができる方を高く評価します。
タスク管理
タスクとして管理できる機能はどのツールにもありますが、リストとして一覧表示できたり、担当者別などで絞込やソートできる場合は高く評価します。
工数管理
タスクごとに予定工数、実績工数が登録できるかと、またリスト形式などで担当者別にレポートで表示できる場合は高く評価します。
障害管理
また、障害管理も行いたい場合向けに、作業としてのタスクだけでなく、障害(課題)として登録できるか、また、障害状況を一覧などで確認できるかを評価します。
カスタマイズ性(拡張性)
専用のアドオンやプラグインで機能拡張ができるか、外部システムと連携できるかを評価します。
導入のしやすさ
導入費用の安さ、無料期間が多さを評価します。また、オンプレミスよりクラウドサービスの方がすぐに使い始められるため、クラウドサービスの方を高く評価します。
なお、プロジェクトの作成方法として、大きく「ガントチャート方式」と「カンバン方式」があります。ガントチャート方式はプロジェクトを作成する際にガントチャート(スケジュール表)からつくる方式、カンバン方式はタスク(作業項目)から洗い出す方式です。ガントチャート方式は、製品のバージョンアップなど、やることが決まっている場合にプロジェクトを作成しやすい方式です。一方、カンバン方式は、生産性改革プロジェクトなど、何をすべきかをはじめに洗い出す場合に向いている方式です。自社の実施するプロジェクト形態に合わせて決めるとよいでしょう。
プロジェクト管理ツールの比較結果
Redmine
オープンソースの代表格となるプロジェクト管理ツールです。
進捗管理
標準では障害あるいは課題に対応する「チケット」を中心に管理し、ガントチャートは後生成する方式となります。「Easy Guntt」などのプラグインによりガントチャートを編集可能にすることができます。
タスク管理
チケットという機能で登録できます。進捗状況や開始日、予定工数なども入力できるようになっています。工数管理
標準では工数管理はできませんが、「WorkTime」などのプラグインで工数管理できるようになるなど自由に機能拡張ができます。
障害管理
タスクと同様、チケットにより管理できます。種別としてタスク障害区分が選べるため障害管理もしやすいものとなっています。
カスタマイズ性
多くのプラグインが提供されていることから、カスタマイズ性が高いと言えます。その他、Wiki機能でドキュメントを登録することも可能です。
導入しやすさ
オープンソースとなるため価格はソフトウェア費用は無償です。ただし、自社サーバーに構築が必要となるため、サーバー費用がかかります。導入までの時間も最もかかるかたちとなります。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
3 | 4 | 4 | 5 | 5 | 1 |
Redmineのインストール方法や詳しい使い方は以下に掲載しています。
Lychee Redmine
また、Redmineで有名なプラグインとして「Lychee Redmine」があります。Lychee RemineはRedmineにガントチャート、カンバン方式による進捗管理、リソース工数やEVMレポートなどの機能を追加することができます。クラウド版であれば環境構築の必要なく、すぐに導入も可能です。
ただし、Lychee Remineは有料となります。スタンダードプランでは1ユーザーあたり800円、工数やコスト管理、レポート機能が可能なプレミアム版は1ユーザーあたり1,200円からとなります。ユーザーはいずれも10ユーザー単位となります。
Lychee Redmineを導入した場合の総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
4 | 4 | 5 | 5 | 5 | 3 |
Lychee Redmineのインストール方法や詳しい使い方は以下に掲載しています。
Brabio!
ガントチャート方式で一番おすすめのWeb型プロジェクト管理ツールです。
進捗管理
全プロジェクト管理ツールの中で最も高いです。タスクの複製や、関連線、マイルストーンなどをショートカット機能でガントチャートを素早くつくることができます。
タスク管理
ガントチャート上で作成したタスクを後で一覧で見ることができます。Brabio!ではタスクから作成するのではなく、ガントチャートから作成し、タスクは後で見る方式となっています。
また、タスクごとに担当を割り当てておくことで、担当別にリソースグラフを見ることができます。
障害管理
障害に関しては「Todo」という機能で登録できます。ただ、関連タスクや添付ファイルが登録できないため他のプロジェクト管理ツールと比較すると弱くなります。
カスタマイズ性
プラグインや外部システムとの連携機能はありません。
導入しやすさ
価格は5ユーザーまでなら、プロジェクト数の制限なく利用できるため、導入しやすいです。有料プランではプラン10(ユーザー数:10まで、月額:3,300円)からプラン200(ユーザー数まで:300、月額:99,000円)まで用意されています。導入費用も安くなっています。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
5 | 3 | 3 | 2 | 1 | 5 |
Brabio!の詳しい使い方は以下に掲載しています。
Trello
タスク主体となる「カンバン方式」で代表的なプロジェクト管理ツールです。
進捗管理
進行中のタスクや完了済のタスクはダッシュボード上で把握することができます。
また、標準ではガントチャート機能はありませんが、「Elegantt for Trello」というChrome拡張機能を使ってガントチャート表示や作業時間の記録も可能になります。
タスク管理
Trelloではカードとしてタスクを登録します。担当や期限、添付ファイルなどを記録することができます。
工数管理
標準では工数管理機能はありませんが、「Elegantt for Trello」を入れることでカード上で工数入力が可能となります。
障害管理
障害に関してもカードで登録するかたちとなりますが、数が多いときに検索しづらくなるデメリットがあります。
カスタマイズ性
上記にあげたようなChrome拡張機能が提供されている他、Power-Upという機能でGoogleカレンダーやDropboxなどの連携が可能となっています。
導入しやすさ
無料プランですと添付ファイルのアップロードサイズが10MBまでの制限がありますが、作成できるプロジェクト数の制限はありません。有料プランもSTANDARDプランが1ユーザーあたり月5$からとなり、比較的安くなっています。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
3 | 5 | 2 | 3 | 4 | 4 |
Trelloの詳しい使い方は以下に掲載しています。
Backlog
Web型でバランスの良いプロジェクト管理ツールとなります。
進捗管理
課題機能でタスクを作成して、ガントチャートが自動で生成される方式となっています。ガントチャート上で進捗を更新することはできません。
タスク管理
課題機能で登録します。進捗状況や開始日、予定工数なども入力できるようになっています。
工数管理
工数についても課題機能で管理します。コメント機能で後から追加できるようになっています。
障害管理
障害についても課題機能で登録できます。区分として通常のタスクと障害を分けて登録できるため管理しやすいものとなっています。
カスタマイズ性
ソース管理ツールのSubversionやGitとのソース連携が可能です。
その他、Google Chrome拡張による機能拡張も可能となっています。
導入しやすさ
30日間は無料でご利用できます。有料プランはスタータープラン(プロジェクト数:5まで、ユーザー数:30まで、月額2640円、スタンダードプラン(プロジェクト数:100まで、ユーザー数:無制限、月額:12,980円)、プレミアムプラン(プロジェクト数:無制限、ユーザー数:無制限、月額:21,780円)などが用意されています。クラウドですぐ導入できる他、1ユーザーあたりの価格が最も安価となっています。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
3 | 4 | 3 | 5 | 4 | 5 |
Backlogの詳しい使い方は以下に掲載しています。
Jira Software
アジャイル向けのプロジェクト管理ツールです。「スプリント」という単位で分割し、段階的開発のプロジェクト管理ができます。
進捗管理
バックログ機能でタスクを登録し、カンバン方式でビジュアルに進捗状況が管理する方式となっています。また、スプリントという単位で管理ができますので、アジャイル開発に向いたツールとなっています。また、標準ではガントチャート生成はできませんが、「WBSガントチャート for Jira」いうプラグインにより生成できるようになっています。
タスク管理
バックログ機能で登録します。進捗状況や開始日、予定工数なども入力できるようになっています。
工数管理
バックログに作業時間を記録することで、レポートで表示することが可能です。
障害管理
タスクと同様にバックログ機能で記録することができます。区分として通常のタスクと障害を分けて登録できるため管理しやすいものとなっています。
カスタマイズ性
プラグインにより拡張が可能となっています。その他、GitHubとの連携やワークフローを細かく設定することもでき、拡張性はかなり高くなっています。
導入しやすさ
無償版ではストレージ数2GBまでとなりますが、7日間はプロジェクト数無制限で利用できます。有料プランはスタンダードプラン(1ユーザーあたり月額900円、ストレージ数:250GB)、プレミアムプラン(1ユーザーあたり1730円、ストレージ数:無制限)が用意されています。また、オンプレミス版も用意されています。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
3 | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 |
Jira Software詳しい使い方は以下に掲載しています。
Wrike
ガントチャート方式、カンバン方式どちらにも対応しており、切り替えも簡単にできるプロジェクト管理ツールです。
進捗管理
ガントチャートの他、ボード形式(カンバン方式)、リスト形式などで表示を切り替えできます。
タスク管理
タスクを登録するとリスト形式でも表示でき、担当やステータスでソートができるため非常に見やすいです。
工数管理
標準ではできませんが、Wrike for Professional Servicesプランに加入または「Wrike Resource」というアドオンをインストールすることで作業実績の記録や、作業負荷をチャートで見ることが可能となります。
障害管理
障害についてもタスク機能で登録することで運用可能ですが、通常の作業タスクと障害の切り分けができないため、障害管理は別プロジェクトにするなどの工夫が必要になります。
カスタマイズ性
SlackやTableauなど、400以上のアプリと連携できる他、APIも提供されていることからカスタマイズ性はかなり高くなっています。
導入しやすさ
5ユーザーまでは無料で利用できますが、ストレージが5GB等の制限があります。Professionalは1ユーザーあたり9.8ドル/月、Businessは1ユーザーあたり24.8となります。14日間はどのプランも無料でご利用できますが、有料プランは最低5ユーザーの契約となることから他のプロジェクト管理ツールと比較すると高めになります。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 |
Wrikeの詳しい使い方は以下に掲載しています。
Asana
AsanaもWrikeと同様、ガントチャート方式、カンバン方式どちらにも対応しており、操作もしやすいやすいプロジェクト管理ツールです。
進捗管理
タイムラインとしては可能ですが、本格的なガントチャート機能としては弱いです。Instaganttなどのアプリと連携することにより本格的なガントチャート管理が可能ですが、Instaganttと併用が必要となるため、ガントチャートが標準でついているアプリよりは若干使いにくいものとなります。
タスク管理
リストの他、タイムラインやカレンダーで表示でき、担当やステータスでソートができるため非常に見やすいです。
工数管理
標準ではできませんが、Harvestなどとアプリを連携することで工数管理も可能となります。
障害管理
障害についてもタスク機能で登録することで運用可能ですが、通常の作業タスクと障害の切り分けができないため、障害管理は別プロジェクトにするなどの工夫が必要になります。
カスタマイズ性
SlackやGoogleドライブなど、100以上のアプリと連携できます。Wrikeよりは連携できるアプリ数は劣ります。
導入しやすさ
30日間はBusinessプランが無料でご利用でき、その後はBasicプランとなりますが無償で15ユーザーまで利用可能です。有料版ではPremiumは1ユーザーあたり1,475円/月または14,400円/年、Businessが1ユーザーあたり3,300円/月または32,400円/年となります。
総合評価は以下の通りです。
進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
3 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 |
Asanaの詳しい使い方は以下に掲載しています。
まとめ
最終的な比較結果は以下の通りです。
ツール名 | 進捗管理 | タスク管理 | 工数管理 | 障害管理 | カスタマイズ性 | 導入しやすさ |
Redmine | 3 |
4 | 4 | 5 | 5 | 1 |
Lychee Redmine | 4 | 4 | 5 | 5 | 5 | 3 |
Brabio! | 5 | 3 | 3 | 2 | 1 |
5 |
Trello | 3 | 5 | 2 | 3 | 4 | 4 |
Backlog | 3 | 4 | 3 | 5 | 4 | 5 |
Jira Software | 3 | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 |
Wrike | 4 | 5 | 4 | 3 | 5 | 3 |
Asana | 3 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 |
・標準機能で総合評価が最も高かったのはLychee Redmine。すぐに進捗、タスク、工数、障害を 統合的にカバーしたツールを求めるならLychee Redmineがおすすめ
・価格面で言えばBacklogが最も安い。Backlogはバランスも良いので初めて使うにはおすすめ
・進捗管理のみで言えばBrabio!、カンバン方式のみであればTrelloが特化している分使いやすい
ただ、今回の評価基準に入れていませんでしたが、WrikeやAsanaはUIがわかりやすかったです。また、ほとんどのプロジェクト管理ツールは他のアプリの連携により補完もできることから、一概にこのプロジェクト管理が一番良いかは難しいものがありました。
いずれのプロジェクト管理ツールも無償で使えることから、今回の比較結果を参考にいただきつつも、自社の課題解決にあったツールを選定いただきたいと思います。